似ている言葉なので混同しがちですが、厳密には意味が異なります。
相続人とは、実際に財産を相続する人を指します。
法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続できる人を指します。
※法律上は、亡くなった人を被相続人と表現します。
相続人と法定相続人の大きな違いは相続放棄という手続きを行った場合には、相続人ではなくなりますが、法定相続人は相続放棄をした場合でも法定相続人です。
※相続放棄とは家庭裁判所に相続の放棄の申述を行い、被相続人の権利や義務を一切受け継がない状態になることをいいます。
つまり、相続放棄をした人は、最初から相続人で無かったことになります。
誰が相続人になるかは順位が決まっています。
(下記国税庁HPタックスアンサーNo.4132相続人の範囲と法定相続分より抜粋)
相続人の範囲や法定相続分は、民法で次のとおり定められています。
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。
<第1順位>
死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
<第2順位>
死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないときに相続人になります。
<第3順位>
死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
◆相続税の基礎控除額(相続税法 第15条)
相続税には「この金額までなら課税されません」という基礎控除額があります。亡くなった人の財産が基礎控除額の範囲内であれば、相続税を納める必要はありません。
基礎控除額の計算は下記の通りです。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
このように、基礎控除額の計算には、法定相続人の数が大きく影響します。相続税の節税対策として、養子縁組によって法定相続人を増やす方法がありますが、無制限に養子縁組を認めてしまうと、不当な税金対策にもなってしまうため、民法上は養子の数に制限はありませんが、相続税法では法定相続人に加えられる養子の数を下記のように制限しています。
・亡くなった人に実子がいる場合は1人
・実子がいない場合は2人まで このように相続人の定義が分かれば、誰が遺産を取得するのかがわかり、法定相続人が分かればいくらまで基礎控除で課税されないか等がわかるようになります。
相続に関するコラムを書いてまいります。
少しでも、皆様のお悩みの解決に繋がれば嬉しいです。